私が研究論文にテーマとして取り上げた用語を中心に不動産の鑑定評価に関する専門用語について解説しております。

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<不動産鑑定評価>
不動産鑑定評価とは、鑑定評価の対象となる不動産の客観的な市場交換価値を算定し、貨幣額を持って表示すること。宅建業者や金融機関が行う価格査定や担保評価とは異なり、不動産の鑑定評価に関する法律に基づいて国家資格者「不動産鑑定士」のみが独占業務として行うことができる。

<価格時点の確定>
不動産の鑑定評価を行う場合に、いつ時点の対象不動産の価格(賃料)を求めるかを確定させること。不動産の価格・賃料は常に変動しているため、鑑定評価を行うにあたっては、まず、価格を求める時点を確定させなければならない。

<正常価格>
正常価格とは、買い進み売り急ぎ等の特殊な事情が無い市場参加者が、対象不動産に関して十分な期間公開された情報に基づき、市場統制の無い市場において取引するであろう市場交換価値を貨幣額を持って表示したもの。
 

<限定価格>
限定価格とは、対象不動産の隣地買収による併合や経済合理性に反する分割を前提として、その対象不動産の取引について市場参加者が限定される(例えば隣地買収であれば買主が隣地所有者に限定され、一般の需要者と異なる価格提示ができる)場合に、その限定された当事者だけが対象不動産に対して提示できるであろう市場価値を貨幣額を持って表示したもの。

<更地>
建物等の定着物が無く、所有者による使用収益を制限する権利等も付着していない土地をいう。

<建付地>
現に建物等の定着物の敷地として利用されており、建物等の所有者と敷地の所有者が同一であり、かつ、敷地の利用を制約する権原の付着しない宅地。建付地の鑑定評価は、現に建物の存する状態を所与として、建物の継続利用を前提として行う。

<借地権>
借地借家法にいう借地権。つまり、建物の所有を目的とする土地賃借権又は地上権のこと。建物の所有を目的としない土地賃借権(駐車場利用など)や使用貸借による土地利用権は除く。

<底地>
借地権の付着する土地の所有権。つまり、底地の経済価値は地代徴収権としての経済価値と借地契約満了による更地としての復帰期待価値により構成される。

<建付減価>
現に建物の敷地に供されている土地について建物の継続利用を前提として、その現況建物が何らかの理由で敷地の有効利用を阻害している場合(容積率の未消化・用途の不具合等)に、その阻害の程度に応じた市場価値の減価をいう。簡単に言えば、更地価格と建付地価格の差。

<DCR>
デット・カバレッジ・レシオ。借入金返済余裕率のこと。不動産収益事業については、(純
収益)÷(借入金返済額)で求められる。数値が高い方が安全性の高い事業とみなされる。通常の不動産投資の場合、1.2以上が収益事業の安全性の目安と考えられている。

<LTV>
ローン・トゥ・ヴァリュー。担保不動産の価値に対する借入金の割合のこと。通常、不動産収益事業については、50%〜70%程度が安全性の目安とされ、事業の安全性、事業主体の信用度等により上下する。

<DCF法>
ディスカウント・キャッシュ・フロー法。不動産収益事業について、有期の収益期間を想定し、その収益期間中に得られる各期の純収益を割引率で割戻した現在価値の総和により不動産の収益価格を算定する方式。

<IRR法>
収益事業において、初期投資と一定期間中の各年度の純収益の割引現在価値の総和を一致させるための割引率(内部収益率IRRという)を比較することにより、その収益事業の効率性を判断する手法。

<継続賃料>
現に継続中の賃貸借契約において、賃料の改定を行う場合に、契約関係にある当事者間での経済合理性のみを追求した改定後の賃料。多数の市場参加者が多数の物件を選択できる市場環境の中で借手と貸手の合意により成立する新規の賃貸借契約締結時における新規賃料と区別される。

<差額配分法>
継続賃料の鑑定評価における賃料算定手法の一つ。現に支払っている現行賃料と類似物件を新規に借りる場合に必要となる新規賃料との差額について分析し、その差額の一定部分を現行賃料に加減して試算賃料を算定する手法。前記差額のうちどの程度の部分を現行賃料に加減するかの判断が恣意的になりやすい。個人的には、一般市場における賃料改定時の契約当事者間の思考過程を最も忠実に辿ることができる手法で使い方によっては有効であると考えている。

<スライド法>
継続賃料の鑑定評価における賃料算定手法の一つ。現に支払っている賃料にその賃料に合意した時点から価格時点までの変動率(スライド指数)を乗じて試算賃料を算定する手法。客観的なスライド指数に基づく手法であるが家賃指数・物価指数等数ある指標の中でどの指標を採用するかが恣意的になりやすい。

<利回り法>
継続賃料の鑑定評価における賃料算定手法の一つ。現に支払っている賃料を合意した時点における対象物件の時価に対する純賃料の割合(継続賃料利回り)を求め、価格時点における対象物件の時価にこの継続賃料利回りを乗じて試算賃料を算定する手法。物件の時価の変動を賃料に反映させることができる。

<賃貸事例比較法>
継続賃料の鑑定評価における賃料算定手法の一つ。類似不動産について継続中の賃貸借契約において賃料の改定に係る賃貸事例を分析し、その賃貸事例との比較において試算賃料を算定する手法。賃貸借契約は個別性が強く、そもそも比較対象となる賃貸事例が収集できるかが疑問である。

<収益還元法>
不動産の価格を求める手法のうち不動産の生み出す収益に着目し、その収益を得るための投資額としての不動産価格を求める手法。収益期間に対する考え方により、大きく有期還元方式と無期還元方式に分類される。

<土地残余法>
更地の収益価格を求める収益還元法の一つで、更地上に建物を建築し賃貸することを想定し、その賃貸事業により得られる純収益のうち土地に帰属する部分を収益還元して土地の収益価格を求める手法。現在の鑑定業界においては、無期還元による土地残余法が主流とされる。

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